離婚慰謝料を義両親に請求したい−という質問
・離婚慰謝料を義両親に払ってもらいたいです
ということを時々質問されます。
しかし、結論としては、離婚慰謝料を支払うのは配偶者だけであって、その両親に支払い義務はないことになります。
例外的に、義両親があなたを攻撃したりして、それが不法行為となる場合には、義両親に損害賠償の責任が生じるでしょう。
ただ、通常の離婚慰謝料は、配偶者が不貞行為やDVを行うというケースで生じます。
その場合には、配偶者が加害者、あなたが被害者という位置づけになり、個人と個人、一対一の関係になります。
離婚慰謝料も交通事故のような不法行為の一種です。交通事故の場合に加害者の家族が法律上の責任を負わないのと同じように、離婚慰謝料の場合にも義両親が責任を負うことはありません。
なお、話し合いによって、両親が息子や娘の慰謝料を肩代わりするという場合も中にはあります。そのような場合でも、実際にあるのは両親がいったん息子や娘に金銭を渡し、それを賠償に充てるというのが自然です。
これも義両親の考え次第ですので、義両親に対して法律的に強制することはできません。
このように、相手方に離婚慰謝料を支払うだけの財産がない場合であっても、義両親に請求をすることはできず、分割払いなどの方法により少しでも金銭を受け取ることができる現実的な方法を選択していきます。
たしかに、結婚は家と家の関係という側面もあります。
また、直接の相手方である配偶者にお金があまりなく、実家は比較的裕福である場合も少なくありません。
このような理由から、離婚慰謝料を義両親に払ってもらいたいという動機が出てくるのも理由があります。
義両親からの申し出がある場合には、ありがたい話ですので受け入れるとしても、自分の側から義両親に対して慰謝料を請求することは、上記のように困難な面があります。
また、離婚について、夫婦同士の話し合いでは解決できずに、離婚調停となる場合があります。
離婚調停の段階では、当事者は配偶者とあなたの二人であるという側面がより強くなりますので、義両親への慰謝料の請求は難しくなります。
離婚の際に慰謝料が問題になっている場合には、以上の点を頭に置きつつ話し合いをすることで、無用の争いが生じることが少なくなります。
是非参考にしてください。