「性格の不一致による離婚」と慰謝料

・「性格の不一致による離婚」の場合、慰謝料は請求できますか?
・慰謝料の相場はいくらですか?

このような相談が多いので、「性格の不一致による離婚」と慰謝料の関係について解説します。

結論としては、次の通りです。
・「性格の不一致による離婚」の場合、慰謝料は発生しない。
・慰謝料ではなく財産分与を請求できる場合がある。
・「性格の不一致」は離婚事由にならないことが多いので注意が必要。

それでは詳しく見ていきましょう。

執筆者

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2011年弁護士登録・岐阜県弁護士会所属
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目次

性格の不一致による離婚

離婚の原因については不貞行為やDV・モラハラなど、さまざまです。

よく相談があるのは「性格の不一致」についてです。
日常生活の中で、配偶者との価値観の違いやコミュニケーションの行き違い、将来への考え方の相違など、配偶者との間で性格の不一致を感じる方がよく見られます。

多少の行き違いはあり得るとしても、配偶者との将来を考えられないほど溝が広がり、離婚を決断して相談にお越しになる方もいらっしゃいます。

離婚理由としての「性格の不一致」

「性格の不一致」は夫婦間の溝や対立が続き修復が難しいと判断した場合によく感じられます。

価値観の違いや日常生活の中での意思疎通の困難さ、互いの期待と現実のズレなど、具体的な問題が背後にあることもあります。

これらの問題は日々の生活を通じて繰り返し起こって、夫婦間のストレスを増大させ、最終的に離婚へと繋がることがあります。

性格の不一致が生じる具体的な状況

性格の不一致が生じる状況はさまざまです。

共働きであれば仕事と家庭のバランスに関連する問題も多いです。
専業主婦の方であれば経済的な問題や自由に対するストレス、子育てでの教育方針の違いなどで性格の不一致を感じる可能性があります。

また、配偶者と長い時間を共に過ごす中で、互いの性格の違いが明確になり、それが離婚の理由になることもあります。

性格の不一致による慰謝料請求の可能性

慰謝料とは何か?

慰謝料は、不法行為によって生じます。

相手方の違法有責な行為により精神的苦痛を受けた場合に、慰謝料を請求することができます。
たとえば、配偶者の浮気やDVなど明確な違法行為がある場合には慰謝料を請求することが可能です。

「性格の不一致」の場合の請求の可否

しかし、性格の不一致の場合、原則として違法有責な行為はないため、慰謝料を請求することはできません。

「性格の不一致」は相手方が違法な行為を行った訳ではないので、法的に慰謝料を請求する根拠にはなりません。

慰謝料以外の金銭請求

上記のように「性格の不一致」による離婚の場合、慰謝料の請求は原則としてできません。

しかし、「財産分与」を請求できる可能性があります。
財産分与とは夫婦間の共有財産を離婚時に清算する制度です。

特に長期間の婚姻生活の中で積み上げた共有財産が多い場合については、慰謝料ではなく財産分与として金銭が受け取れる可能性があります。

性格の不一致による離婚の注意点

「性格の不一致」はそれ自体は離婚原因とは認められないことが多いです。

つまり、性格の不一致を理由に離婚を請求しても、法的に離婚が認められず離婚が成立しないこともあります。
この点には注意が必要です。

まとめ

以上のように
・「性格の不一致による離婚」の場合、慰謝料は発生しない。
・慰謝料ではなく財産分与を請求できる場合がある。
・「性格の不一致」は離婚事由にならないことが多いので注意が必要。
ということについて解説しました。

「性格の不一致による離婚」を考えている方は参考にしてください。

執筆者情報

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