離婚慰謝料を払わないとどうなるか-そのリスク

離婚のときに決まった慰謝料を払わないとどうなるか、そのような相談がありました。

離婚のときに決めた内容はできる限り守ったほうが良いです。

しかしそれでも、給料が下がったり、再婚したりなど様々な理由から支払いが困難になることもあります。
また、支払いができるものの、払わない場合にどのようなリスクがあるか気になるものです。

そこで、離婚慰謝料を払わないと実際どうなるかについて解説していきたいと思います。

執筆者

参考にしてください
2011年弁護士登録・岐阜県弁護士会所属
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目次

離婚慰謝料の決め方

離婚慰謝料を支払わないとどうなるかについては、その決め方によって大きく変わります。

専門的には、債務名義があるかどうかという点です。
債務名義とは簡単に言えば強制執行をできる書面のこと。

もっとも分かりやすい例が、裁判の判決書です。
慰謝料の支払いを命じる判決書があれば、それに従わない場合には預貯金の差し押さえができたり、給料の差し押さえができます。

預金や給料を差し押さえられることは大変な不利益であるので、債務名義がある場合に離婚慰謝料を払わないことはとてもリスクが高いことになります。

慰謝料を調停で決めた場合

離婚調停で慰謝料の支払いが決まった場合もあります。

たとえば、
「相手方(自分)は、申立人に対して、慰謝料として100万円を支払う。」
といった内容の調停調書が作成される場合です。

このような調停調書は債務名義です。

このため、調停で決めた慰謝料の支払いをしなかった場合には、この調停調書をもとに預貯金口座を差し押さえられたり、給料を差し押さえられたりすることになります。

このため、慰謝料は決まったとおりに支払うべきですし、支払わない場合に不利益は大きいものとなります。

慰謝料を公正証書で決めた場合

離婚を協議でする場合があります。離婚届を市町村役場に提出するのが、協議離婚です。

この際に、公正証書で慰謝料を決める場合があります。

公証人からよく説明があると思いますが、公正証書にも債務名義としての力があります。
このため、公正証書で記載した慰謝料を約束どおりに支払わなかった場合には、給料を差し押さえられたりすることになります。

反対から言えば、公正証書を作成する時にはできるだけ慎重に条項の内容を確認しておくことが大切になります。

慰謝料を話し合いで決めた場合

慰謝料の支払いを話し合いで決める場合もあります。
たとえば、自分の浮気があった時に、配偶者に慰謝料として100万円を支払うと約束した場合などです。

この場合も約束したことが事実であれば、その約束に従って支払いを行うべきです。

ただし、慰謝料の約束が話し合いのみである場合には、判決書などの債務名義はないので、すぐに預貯金を差し押さえられたり、給料を差し押さえられたりするリスクはありません。

この場合に、慰謝料を支払わないと、相手方は法律的には裁判などの手段をとることが必要になります。

仮に、慰謝料の請求側が実際にあなたから慰謝料を支払ってもらいたいと考えているのであれば、裁判を申し立てられてそれに対応していくという負担があります。

特に、相手方が弁護士に依頼をしている場合には、裁判の可能性も高くなります。

まとめ

以上、調停などにより決めた慰謝料を支払わないとどうなるかについて解説しました。
支払いの約束は基本的に守るべきですが、状況により支払いができなくなる場合もあります。

ポイントは、慰謝料の支払いについて債務名義があるかどうかという点です。

特に債務名義がある場合には、給与などを差し押さえられてしまうリスクがあるため、注意が必要です。
債務名義がない場合にはすぐに差し押さえをされる可能性はありませんが、他方で裁判を起こされた場合にはこれに対処していくことが必要になります。

執筆者情報

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