離婚慰謝料と証拠について考える-不貞の場合

・夫が浮気をしています。LINEは証拠になりますか?
・ラブホテルのレシートがあります
・探偵を雇ったほうが良いでしょうか?

離婚慰謝料を請求する時に、どのような証拠が必要でしょうか。
慰謝料はDVの場合もありますが、この時は病院の診断書が重要な証拠になります。

一方で、不貞行為の場合には証拠も色々あり、悩むことも多いでしょう。

本記事では、不貞・浮気の場合の証拠について解説します。
・慰謝料の証拠は配偶者の対応で変わる
・話し合い、調停、裁判でも変わる
ということに注意しましょう。

執筆者

参考にしてください
2011年弁護士登録・岐阜県弁護士会所属
>>弁護士紹介

目次

慰謝料の証拠は配偶者の対応で変わること

離婚慰謝料で証拠が必要かどうか、またどういった証拠が有効かということについては、配偶者の対応により大きく変わります。

配偶者が
・不貞を認めない場合
・不貞を認める場合

それぞれ見ていきましょう。

配偶者が不貞を認める場合

配偶者が不貞を認めている場合には、あまり強い証拠は必要ありません。
裁判の場合であっても、当事者双方に争いがない事実については、証拠によることなくそれが事実として扱われます。

ただし、相手方が最初は認めていたとしても、後になって態度が変わって不貞の事実を否定することもあります。
このため、最低限の証拠は残しておいた方が良いでしょう。
本人に謝罪文などを書いてもらったり、やり取りを録音しておくことも有効です。

配偶者が不貞を認めない場合

配偶者が不貞の事実を認めない場合もあります。
この場合には、きちんとした証拠を集めておく必要があります。

また、浮気について配偶者と話していない場合もあります。
自分は配偶者が浮気をしていることを知っていたり、浮気を疑っているような場合です。
そして、もし不十分な証拠で配偶者を問い詰めた場合に、配偶者が不貞の事実を認めない可能性がある場合に同じような問題が出てきます。

よく相談があるケースでは、メールやLINEなどが証拠になるかというご質問です。

これらは証拠にはなりますが、それだけで不貞の事実が認められるほどの強さはありません。
ただし、写真など他の証拠を補強するために、メールやLINEなどのスクリーンショットなどを利用することもあります。

強い証拠としての例は、ラブホテルや女性の家に入っていく時の写真や動画です。
顔や普段乗っている車が写っていると証拠としての価値は高くなります。

ただし、こういった写真を一般の方が撮ることはなかなか難しく、興信所・探偵の力を借りることも選択肢になります。
それでも、頑張って自分の力で写真を撮る方もいらっしゃいます。

いずれにせよ、重要なのは相手方が不貞の事実を争っている場合には、不貞の事実を証明するための証拠が必要になるということです。

どういう証拠が必要かということについては、法律で決まっていませんが、この点については一般常識から見てどうかという視点も重要になります。

話し合い、調停、裁判でも変わる

離婚慰謝料の証拠については、問題となっている場面が、話し合いなのか、調停なのか、裁判なのかということでも大きく影響があります。

話し合いのとき

離婚慰謝料が話し合いの段階で問題となっている場合も珍しくありません。
この場合には、上記の相手方の対応にもよりますが、当事者同士のやり取りですので、メールやLINEなどの証拠も大いに役に立ちます。

むしろ写真・動画などの強い証拠は、隠し撮りなども伴うかもしれませんので、かえって話し合いの障害になる場合もあります。

ただし、話し合いの段階といっても、離婚協議が難航して弁護士が介入するような場合には、弁護士から比較的強い証拠をお願いすることが通常です。
相手方が不貞行為があったという確信を持って、慰謝料の請求を行いたいからです。

調停のとき

慰謝料が離婚調停で問題になる場合も多くあります。

配偶者が不貞の事実を認めている場合も珍しくなく、そのような場合にはあまり証拠が問題とならないこともあります。

他方で、興信所の調査報告書が、証拠として提出されることも一定数あります。
これは、離婚調停が家庭裁判所で行われる公的な手続きであることも影響しています。
また、離婚調停は裁判の前段階という側面もありますので、証拠の価値が強く意識されます。
そのような理由から、興信所の調査報告書が提出されることが多くなります。

ただし、離婚調停は話し合いの手続きで、不貞行為があったかどうかを白黒つける場ではありません。
こういうこともあって、配偶者が不貞行為を認めており慰謝料の金額を調整するケースが相当数を占めます。

配偶者が調停の最後まで浮気・不貞の事実を認めない場合には、裁判の手続きに段階が移ります。

裁判のとき

上記のように調停では離婚慰謝料の問題を解決できない場合には、裁判により解決することになります。

裁判は、証拠により事実を判断します。
不貞行為について、十中八九の証明が必要というイメージです。

このため、興信所の証拠があれば比較的安心して裁判を進めることができます。
しかし、それでも写真が不鮮明であったり不十分であることもあります。

ただし、注意していただきたい点ですが、興信所の調査報告書は絶対必要というわけではありません。
他の証拠でも裁判官が不貞の事実があったと確信できるものがあればそれで十分です。

しかし、話し合いや調停とは違い、価値のある証拠が必要ということは大切なポイントになります。

まとめ

以上、離婚慰謝料を請求する場合の証拠について解説しました。

・相手方が不貞行為を認めるかどうか
・問題となっている場面が、話し合いなのか、調停なのか、裁判なのか
という点によって必要となる証拠も変わります。

興信所の調査報告書が重要な証拠となることは事実ですが、かなりの費用がかかり利用するかは検討が必要です。
それでも中には、探偵・興信所へ費用を払ってでも証拠を集めておくと良いケースもあります。

不貞行為の証拠には本当に様々なものがあり悩むことも多いと思いますが、参考にしていただければ幸いです。

執筆者情報

「ある日突然、法律のトラブルに直面した方の手助けをしたい。」 当事務所ではそのような理念の下で弁護士業務を行っています。 事務所には、弁護士に相談するのが初めてという方が多く来られます。 そのような方々に、法律上できるだけのサポートをさせていただきます。 弁護士として11年目になりますが、その間、離婚問題・男女問題について 数多くの事件を取り扱ってきました。 悩みを一人で抱え込まずに、お気軽に御相談ください。|弁護士紹介はこちら

目次