慰謝料なしでの離婚についてー早期解決を優先する場合

本記事は、慰謝料を請求する側に立った記事です。

ですので、慰謝料の請求を受けている方(支払義務がある側)にとってはあまり意味のない内容です。

本記事のテーマ
・早期解決のため、慰謝料を請求せずに離婚をすること

なお、弁護士的には慰謝料が請求できるときはした方が良いというのが基本的なスタンスですので、例外的な場合とも言えます。
ただ、慰謝料請求には時間や労力がかかる場合も多く、慰謝料なしに離婚をする場合もメリットがあります。

では、詳しく見ていきましょう。

執筆者

参考にしてください
2011年弁護士登録・岐阜県弁護士会所属
>>弁護士紹介

目次

慰謝料なしの離婚について

相手方に不法行為があったとしても、慰謝料の取り決めをしなかったり、慰謝料の支払いを求めずに離婚するケースもあります。

早期に離婚をすることが主な目的です。

なお、下記は法律的に別の話ですので、区別してください。
・慰謝料
・財産分与
今回は慰謝料の話になります。

慰謝料なしで離婚することのメリット

上にも記載しましたが、慰謝料なしに離婚する一番のメリットは”時間”です。

離婚によって、配偶者とは他人になりますので、早く離婚を成立させて関係を切り、新しい人生をスタートさせること、これを重視することも意味があります。

そのため、多少慰謝料が請求できたとしても、それよりも将来に目を向けることもあり得ます。

そのような理由から、慰謝料なしの離婚が選択されます。

慰謝料の請求に労力や時間がかかること

慰謝料を請求する場合の負担も見ておきましょう。

慰謝料は心の傷を金額として評価するもので、具体的な算定基準は決まっていません。
(交通事故の入通院慰謝料については、ある程度の指標があります。)

このため、慰謝料の請求には労力や時間がかかることが多いです。

労力

まず、相手方と話をして次の2点を納得してもらいます。
・慰謝料の支払いに応じること
・慰謝料の金額

相手方が、不貞行為があることを否定している場合は、支払自体に応じてもらえません。
このため、弁護士に依頼したり、場合によっては離婚調停をする必要が出てきます。

DVがあるケースでは、相手方は慰謝料の支払いを拒否するかもしれません。

また、相手方が慰謝料の支払い自体には納得していても、金額の点で折り合いが付かない場合もあります。
慰謝料については、明確な基準がないからです。
その場合には、やはり調停などを利用する必要が出てきます。

こういった点で、慰謝料の請求には労力がかかることが多いです。

時間

上の点に関連しますが、慰謝料が原因で調停などになると、労力だけでなく離婚までの時間も長期化します。

離婚調停の場合には、早いケースで6か月ほどかかり、1年前後となることもざらにあります。
このため、慰謝料で話がつかずに離婚調停などになった場合には、時間もかかることになります。

お金

相手方が慰謝料の支払に応じない場合、弁護士へ依頼することも良い方法です。
しかし、その場合には弁護士費用を負担する必要があるので、慰謝料を請求したとしてもお金の支出があります。

慰謝料を受け取った方が良いケース

これまで記載した内容とは異なり、慰謝料を受け取った方が良いケースもあります。

以下の場合は、慰謝料請求を選択することになります。
・相手方が支払いに応じるとき
・慰謝料が高額になる場合
・慰謝料自体に意味がある場合
・財産分与などその他にも争点がある場合

相手方が支払いに応じるとき

相手方が慰謝料の支払いに応じる場合は、上のようなデメリット(労力・時間・お金)はありません。
素直に受け取っておきましょう。

慰謝料が高額になる場合

慰謝料が高額になるケースもあります。

この場合には、労力をかけてでも請求を行った方が良い場合もあります。
ただし、離婚ではあまり高額な慰謝料が認められない傾向にあります。

慰謝料自体に意味がある場合

慰謝料の支払いに意味がある場合もあります。

たとえば、本当に大切にしていた物を相手に壊されてしまった場合、不倫の内容があまりにもひどい場合、DVの場合など、気持ちの上でも慰謝料を請求せざるを得ないことがあります。

最終的に慰謝料としてお金の問題になってしまいますが、反面お金の問題ではなく慰謝料自体に意味がある場合も多いです。

財産分与などその他にも争点がある場合

慰謝料だけでなく、財産分与など他にも複数折り合わない点がある場合
そういった場合は、他の争点もあわせて離婚調停などを行う必要があり、いずれにしても時間がかかるので、慰謝料を請求することになります。

養育費はきちんと決めておく

子どもがいて自分が親権者となるときには、養育費についてはきちんと決めておきましょう。
慰謝料は自分のためですが、養育費は子どもの将来のためのお金ですので。

決め方としては、公正証書などで明確にしておくと良いです。

まとめ

以上、慰謝料なしで離婚をすることについて解説しました。

相手方が応じているのであれば良いですが、相手方が争っている場合は慰謝料の請求に労力や時間がかかります。
そのため、早期の離婚のために慰謝料なしで離婚をする場合もあります。

ただ、やはり不法行為があれば、慰謝料を請求するのが原則です。離婚後の人生との兼ね合いでもあります。

参考にしてください。

執筆者情報

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