別居中の配偶者に対して,離婚を求めることはできますか?
【説例】
夫と1年間一緒に生活しましたが,性格が合わずに別居しました。
その後,5年が経過しました。
夫と離婚することはできますか?
【解説】
説例のケースの場合,離婚が認められる可能性があります。
民法は,「婚姻を継続しがたい重大な事由」を離婚原因の一つに定めています。
この要件に関連して,離婚が争われる場合,夫婦関係が破綻しているかどうかが一つのポイントになります。
特に,別居の期間は重要です。
長い期間別居が継続している場合には,婚姻関係が破綻していると推測されます。
そして,婚姻関係が破綻していると評価される場合には,「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして,原則として,離婚が認められることになります。
逆に,別居期間が短い場合には,婚姻関係が破綻していないのではないかと推測されることになります。これは,現在同居をしている夫婦についても同様です。
このような場合には,相手方配偶者の有責な点をまとめて主張していくことが必要になります。たとえば,家に生活費を入れてくれないといった事情や,家庭をかえりみないといった事情です。
このように,離婚を考えるにあたっては,別居の有無,別居の期間が重要になります。
では,離婚が認められるために,どの程度の別居期間が必要でしょうか?
具体的な期間が気になる方も多いのではないでしょうか。
しかし,この点について,明確な基準は決まっていません。
それぞれの夫婦関係によって,離婚のために必要な別居期間は変わります。
例えば,同居期間が長い夫婦においては,それに応じた別居期間が必要です。
反対に,結婚後すぐに別居を始めた夫婦については,離婚が認められるための別居期間は短くて良いと考えられます。
この他,夫婦の年齢や子の有無など,様々な要素により判断されることになります。
上の説例は,同居期間が1年,別居期間が5年というケースです。
やや極端な例ですが,この場合には同居期間に比して別居期間が長いので,離婚が認められる可能性が高いと言えます。
配偶者との離婚を考える際,どうしても相手方配偶者に対する不満点に注目しがちになります。
しかし,離婚においては,上記の理由で別居の期間も重要です。
離婚を考えるにあたっては,このような点も踏まえて検討することが必要になります。