慰謝料を請求された際の合意書作成と求償権行使のケース-岐阜市
■依頼者の状況
依頼者 20代女性
相手方 交際相手の妻
内 容 (1)合意書の作成、(2)求償権の行使
地 域 岐阜市
■ご相談の経緯
今回ご紹介するのは、岐阜市にお住まいの女性からご依頼いただいた事例です。
最初にお問い合わせいただいたのは、合意書の作成に関するものでしたが、その後、関連して求償権の行使についてのご依頼もお受けしました。
相談者である女性は、職場の男性と交際関係にありましたが、その事実が男性の奥様に知られることとなり、慰謝料を請求される事態となりました。
当初は当事者同士で話し合いが行われ、慰謝料の金額や支払い条件について一定の合意に至りました。
しかし、後になってトラブルが再発することを懸念された女性は、合意内容を文書として正式に残すことを希望されました。
こうした経緯を踏まえ、当事務所に合意書の作成についてご相談いただくことになりました。
■当事務所の活動
当事務所では、交際相手の奥様との間で発生した慰謝料に関する問題について、合意書の作成を行いました。
その後、依頼者の女性から交際相手の男性にも費用の一部を負担してもらいたい(求償権行使)というご相談があり、その男性との交渉も行いました。
■結果
合意書をもとに交際相手の奥様と和解が成立し、慰謝料に関する問題は円満に解決しました。
また、交際相手の男性との交渉の結果、求償金として70万円を受け取ることができました。
■ポイント
今回のケースに関連して、ポイントをいくつか解説します。
◇合意書の作成
慰謝料の支払いに関する取り決めについて、当事者同士の話し合いで合意が得られた場合には、その内容を文書として残しておくことが重要です。
こうした書類は一般的に「合意書」や「示談書」などと呼ばれますが、書類の名称には厳密な決まりがなく、大切なのは記載されている中身です。
特に重要なのが、「清算条項」と呼ばれる部分です。これは、当事者間の一連のやり取りや金銭の支払いを通じて、すべての問題が解決済みであることを明確に示すための文言です。
この条項を盛り込むことで、将来的に「やはり追加で慰謝料を請求したい」といった主張がなされるリスクを減らすことができます。
つまり、今回の支払いによって一切の問題が解決されたことを証明する役割を果たすのです。
なお、こうした合意書の見本やテンプレートはインターネット上にも多く掲載されていますが、個々の事情に合っていない内容のまま利用すると、かえって新たなトラブルの原因になるおそれがあります。
重要な内容を取り決める書類ですので、可能であれば弁護士に相談しながら作成するのが安心です。
◇求償権の行使
不貞行為に関する慰謝料を支払った後、不貞行為の相手に対して支払った金額の一部を請求できる場合があります。
こうした権利のことを「求償権」といい、自分が一時的に全額を負担した場合でも、本来は関係者同士で責任を分け合うべきだという考えにもとづいています。
たとえば、既婚者と関係を持ったことによりその配偶者から慰謝料を請求された場合、本来なら交際相手と費用を分け合うのが公平とされます。請求が一方にだけ届いたとしても、支払い後にもう一方へ費用の一部を求めることが可能です。
どの程度の割合を求償できるか状況によって異なりますが、責任が同程度と考えられる場合は、5対5で折半するという考え方が一つの目安となります。
今回のケースでは、ご依頼者の責任が比較的軽いことを踏まえ交渉を行い、最終的に相手方から全体の7割に相当する金額を求償金として受け取ることができました。