不貞の慰謝料請求をされた方が弁護士に依頼するメリット

 

「慰謝料の請求を受けたのですが,どうしたらよいでしょう?」という相談を受けることがあります。

 

ここでは不貞の慰謝料を請求された方が,弁護士に依頼するメリットについて説明していきたいと思います。

 

一般の方にとって,弁護士はなじみがないと思います。

このため,弁護士への依頼と言っても具体的なイメージが湧かないかもしれません。

 

慰謝料のケースで弁護士が関わるケースは大まかに二つあります。

 

一つは法律相談を受けるというケースです。

もう一つは依頼者に代わって依頼者の代理人となるケースです。

 

まず法律相談について説明します。

慰謝料の請求された場合に,相談者が現在置かれている状況をお聞きして,その状況に応じてアドバイスを行うのが法律相談です。

弁護士はあくまで相談を受けるだけで代理人になるわけではありませんので,相手方との話し合いはご本人自身ですることになります。

費用については事務所によって変わります。無料で相談を行っている事務所もあれば,有料で相談を行っている事務所もあります。

有料で相談を行っている事務所については,相談料は30分につき5,000円という場合が多いですが,これよりも高額の相談料を設定している事務所もあります。

 

次に,依頼者の代理人となるケースです。

上の法律相談は,あくまで相談をお受けするだけで相手方とのやり取りは相談者自身ですることになります。

そうではなく,弁護士が依頼者の代理人として依頼を受ける場合も多くあります。

弁護士が代理人となる場合には,相手方とのやり取りは弁護士が行うことになります。

このため,慰謝料の請求を受けたご本人は直接相手方とやり取りをせず,自分が依頼した弁護士と相談をしながら問題を解決していくことになります。

 

自分の負担が圧倒的に低いのは,後者の弁護士に代理人となってもらうケースです。

しかし,その分弁護士に支払う費用が大きくなります。

 

法律相談については,相談料のみが発生します。

これに対して,代理を依頼をする場合には着手金と報酬金という形が通常です。

法律相談料に比べて,弁護士報酬の金額が大きくなります。

これは,弁護士が代理人となって,本人のために交渉をしたり,示談書を作成したりと弁護士の業務が格段に多くなることが理由になります。

 

法律相談と代理を依頼する違いは,病院で診察を受ける場合を考えてみると分かりやすいかもしれません。

 

近くの病院に行って診察を受けるというのが法律相談で,診断だけではなく手術まで受けるというのが代理を依頼するのに近いように思います。

 

費用についても,診察だけではそこまで大きい金額はかかりませんが,手術となると手術代は相当大きい金額になります。

弁護士の法律相談も相談料だけではそこまで大きい金額ではありませんが,代理を依頼する場合には少なくない金額がかかります。

 

弁護士との関わる時間も大きな違いがあります。

法律相談では弁護士との関わり合いは相談の短い時間に限られますが,代理として依頼をする場合には問題が解決するまでの間になりますので数週間〜数ヶ月と比較的長い時間になります。

 

弁護士への依頼といった場合,多くの場合は代理を依頼するケースを指します。

 

上に記載したように代理を依頼する場合には,弁護士が代わって相手方とやり取りをします。

このため,自分が相手の弁護士とやり取りをするのが怖い場合,心細い場合には弁護士に任せてしまうのも一つの方法です。

 

また,時々あるケースですが,家族に事情を知られたくない場合があります。

たとえば,自分も結婚しているいわゆるダブル不倫のケースでは,自分の配偶者に秘密にしておいて話を解決したいということがあります。

このような場合,弁護士を代理人とすることで,相手からの郵便物は基本的に代理人に届きますし,直接自分が電話を受けることもなくなります。

代理を付けたからといって配偶者にばれてしまうリスクはゼロにはなりませんが,それでもリスクを相当下げることができます。

 

弁護士が依頼を受けた場合,裁判例などを参考にしながら慰謝料の減額の方向で相手方と話を進めることになります。

その際には依頼者の意向や経済状況などを踏まえながら,金額の他にも分割払いなどの支払方法についても協議を進めていきます。

 

仮に金額と支払方法について相手方と折り合った場合には,弁護士に依頼をしているときには多くの場合に合意書や示談書といった書面を相手方との間で取り交わします。

 

これは,合意内容をきちんと書面にして後々の紛争が蒸し返されないことを目的とするものです。

金額や支払期限を明記することの他に,清算条項(これで解決済みであり他に債権債務がないことを明らかにする条項)や第三者への秘匿などを記載することがあります。

 

後に問題が蒸し返されないよう,このような合意書ないし示談書については基本的に作成が推奨されるものです。

相手方に弁護士が付いている場合には,おそらく相手方の弁護士が文案を作成することになり,内容を確認して良ければサインをするということになります。

ただし,相手方の弁護士はあくまで相手方の代理人ですので,相手方に有利な形で文書を作成する傾向にあり注意が必要です。

自分の側も弁護士に依頼をしていれば,文案をよく確認した上で,合意書を取り交わすことができます。

 

以上のように,慰謝料を請求された方が弁護士に依頼するメリットとして大まかに言えばすべてのことを弁護士に丸投げできるという点にあると言えます。

相手方とのわずらわしいやり取りや,裁判例を調べたり書面を作ったりということから開放されます。

 

その代わり弁護士に対する報酬が発生しますので,そういったわずらわしさをお金で解決するかどうかということになります。

代理といっても本人ができることしかできませんし,本人が法律的にできないことはできないので,やはり限界はあります。

このため,自分で行うことに抵抗がない方は,弁護士に依頼をせずに自分自身で進める方向になります。

 

反対に,相手方とのやり取りを含め,お金を請求されているというストレスを軽減するということに価値を見出す方は弁護士への依頼を検討されるのが良いでしょう。

 

 

執筆者情報

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