不貞相手への慰謝料請求について
不貞行為の慰謝料
配偶者が浮気をしており,その浮気相手に対して慰謝料を請求できないかという御相談を受けることが多くあります。
配偶者のある者と肉体関係を持った第三者は,原則として,その配偶者が被った精神的苦痛を慰謝するため,賠償義務があるとするのが判例です。民法は,故意または過失で他人の権利を侵害した場合には,不法行為となり,賠償責任あると定めています。
不貞行為による慰謝料の請求も,この不法行為に基づく損害賠償請求です。このため,浮気相手には,故意または過失が必要になります。他方で,慰謝料の支払義務があることについては,どちらが誘惑したかといったことや,不倫が自然の愛情によるものかどうかといったことは関係がありません。
慰謝料の相場について
実際に不貞行為があった場合に,いくらの請求ができるのかということは大きな関心事かもしれません。慰謝料の一般的な相場は,50万円~300万円と言われることがあります。しかし,ケースによっては,これを上回った金額で合意しているケースもあり,一定の金額が決まっている訳ではありません。
慰謝料の算定の場面では,不貞行為の期間,回数,内容の他,婚姻期間や夫婦関係など様々な事柄が関係します。また,当事者の職業,社会的地位,収入や資産によっても慰謝料の金額が変動するという意見もあります。
裁判において当事者の社会的地位が考慮されるかは別として,裁判前の話し合いの場面では,当事者の支払い能力によって,慰謝料の金額が変動することは少なくありません。
弁護士が慰謝料の請求について依頼を受けた場合には,依頼者の利益を図るため,慰謝料の増額のために有利な事情を検討して,相手方に対して主張をしていくことになります。
不貞行為の証拠について
配偶者の浮気が発覚し,慰謝料請求を行う場合にどのような証拠が必要になるのでしょうか。裁判により慰謝料を請求する場合はもちろん,弁護士に交渉を依頼して請求を行う場合にも,不貞行為の証拠が必要になります。
証拠として,様々なものが考えられますが,次のようなものが代表的な証拠と言えます。
・写真
写真については,様々なものがあります。たとえば,浮気相手との旅行の写真や,ホテルに宿泊したことが分かる写真があります。また,ラブホテルから出てくる際の写真を,相談者が撮影してお持ちになるケースもあります。性交渉や裸の写真が,配偶者の携帯電話に残されている場合もあります。
写真については,それが不貞行為の決め手となるようなものから,証拠としては弱いものまで様々あります。
・録音
近年では,ICレコーダー等の小型の録音機器が簡単に手に入るようになりました。録音は,写真に比べて,入手がし易い面があります。このため,ICレコーダーなどの録音機器に浮気の証拠となる音声を記録して,相談にお越しになる方もいらっしゃいます。
録音についても,どのような場面で,どのような音声が録音されているかによって,証拠としての価値が異なります。
また,録音については,ほとんどのケースで相手方に秘密に録音がなされています。このため,そのような録音方法が,社会通念上あるいは法的に許されるかということも論点になる可能性があります。
・探偵事務所,興信所の報告書
探偵事務所,興信所の報告書が,不貞行為の決定的な証拠になることもよくあります。しかし,興信所の料金は,高額となるケースが少なくありません。尾行を依頼しても,実際に浮気がなされない場合には,調査が空振りに終わってしまいます。
また,興信所の質にも様々あり,証拠としての価値が高い報告書も低い報告書もあります。依頼する興信所が探偵業法の届出をしているかどうか,ホームページ等に会社の所在地を公開しているか,調査料金が著しく安価でないかなどをチェックして,信頼できる業者を選ぶことが重要です。
・クレジットカードの利用明細,領収書
ホテルや旅館でのクレジットカードの利用歴から,浮気の疑いが生じる場合もあります。実際にどのような状況で宿泊がなされたのか,いつ,どこに宿泊をしたのか,配偶者は宿泊を隠していたのか,あるいは仕事の宿泊と偽っていたのか等を確認しましょう。
・メールやLINE
メールの内容から配偶者の浮気が疑われるケースも相当数あります。最近では,LINEの普及により,メールよりもLINEの相談件数が増えてきました。
メールやLINEの内容だけでは浮気の決定的な証拠と評価することは困難かもしれません。しかし,メールやLINEをきっかけに他の証拠を収集していき,合わせて立証していくことが考えられます。
・Facebook,Twitter
また,最近では,自身の行動をFacebookやTwitter等のSNSでインターネット上に公開することも一般的になってきました。そして,その投稿から,浮気が疑われることも多くあります。
投稿単独では証拠とすることが難しい場合もありますが,投稿がきっかけになることはメールやLINEの場合と同様です。
・詫び状,誓約書
配偶者が不貞行為の事実を認めて,詫び状や誓約書を作成するケースもままあります。当然,過去の不貞行為の強い証拠になります。しかし,後になって争われるケースもあり,注意が必要です。
以上のように不貞行為の証拠となるものは様々あります。また,その中でも価値が高いものとそうでないものがあります。御自身で集めた証拠が実際に通用するか確認したい場合や,集めた証拠で請求を行うことを考えている場合には,当事務所までお気軽に御相談ください。
自分で交渉する場合の注意点
配偶者の不倫相手と自分で交渉をすることもあり得ます。
その場合,どのような点に注意すべきでしょうか?
まず,よくある失敗例として次のようなものがあります。
・相手方から嘘の反論をされてしまう場合(「独身だと思っていた」,「肉体関係はない」等)
・証拠が不十分な状態で交渉して,支払を拒否される場合
このような状況になってから弁護士に相談する方もいらっしゃいます。
しかし,一度そのような状況になると,相手方が態度を変えることはあまりありません。
たとえ交渉が弁護士に変わっても,交渉は難しいものになりがちです。
そのようなことにならないよう,よく準備して交渉にのぞむことが大切です。
弁護士に依頼するメリット
交渉を弁護士に依頼するメリットはなんでしょう?
たしかに,慰謝料の交渉は,自分で行うことができます。
しかし,多くの方にとって,利益が対立する相手と交渉することは初めての経験です。
多くの場合,精神的にあまり気持ちの良いものではありません。
このような不慣れなことをせずに,専門家に任せてしまうことも悪くない選択です。
また,弁護士は,交渉が上手く行かない場合,裁判の申立てを考えます。
相手方もその点は承知しています。
このため,相手方は裁判を避けたいと考え,交渉のテーブルに付く動機にもなります。
結果として,交渉がスムーズに進み,早期解決となるケースも多くあります。
この点も弁護士に依頼するメリットです。
不倫の解決事例
・財産が少ない浮気相手と交渉し、分割支払いに応じてもらうことができた事例
・車のナンバーから相手方の氏名・住所を突き止めて慰謝料の請求ができた事例
・不倫の慰謝料請求において、浮気相手である男性と交渉し、250万円ほどを得られた事例