財産分与について
離婚をする上で避けては通れないお金の問題です。婚姻期間が長い場合や、夫婦の財産が多額である場合には、財産分与が一番の問題となるケースがよく見受けられます。
このページでは、財産分与について簡単に解説します。
財産分与とは
財産分与は、簡単に表現をすると、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を、離婚の際に清算・分配することです。(法律的には多様な意味合いがありますが、このページは一般の方に向けた解説ですので、清算的な面に焦点を当てます。)
ご相談いただく際に、慰謝料と財産分与を混同している方が多くいらっしゃいますので、まずはその二つの区別をつけることが出発点となります。
慰謝料は、夫婦のどちらかに不法行為があった場合、そのことが原因で被った精神的苦痛を、賠償し、償うことを目的として支払われるものです。
財産分与は、夫婦のどちらが離婚の原因を作ったかは関係なく、中立的に財産を清算するという財産処理の問題です。
財産分与について、一般の家庭では、預金、保険、自宅不動産、住宅ローン、退職金が問題となることが多く、それ以外の財産が関係することはそれほどありません。
まれに相談者の方から、「テレビや洗濯機などについてはどう分与したら良いですか?」という質問をいただくことがあります。
これらの家具や家電は市場価値がないと評価されることが大半ですので、離婚後に使いたい方が引き継ぐことが多いです。
財産分与の方法
財産分与は離婚時に付随して発生する問題ですので、協議離婚や調停離婚の際にあわせて話し合うことになります。
協議の場合
協議の場合、話の進め方は夫婦によってさまざまですが、注意が必要なのは不動産の財産分与です。
自宅不動産を財産分与で取得する場合には、登記の変更(名義変更)をしなければなりません。このため、後で登記の変更ができるように、離婚協議書を作成し、また内容もよく確認しておく必要があります。
公正証書により文書を作成しておくこともおすすめです。
調停の場合
調停の場合には、まずはお互いが通帳や残高証明書、保険の解約返戻金証明書、家の査定書など財産分与の対象となる資料を出し合います。
その後、財産の評価額を決め、分与すべき金額を割り出して、最終的に分与する財産を決めるという進め方が一般的です。
調停離婚の場合には、最後に、家庭裁判所が調停調書という文書を作成します。
そこには財産分与の内容も記載されますので、別途離婚協議書を作る必要はありません。
財産分与でよく問題になること
財産分与でよく争点となるのが、「家」についてです。
持ち家の場合、不動産は財産の中で大きな比重を占めます。
実際の住居としての意味がありますので、離婚後にどちらが住み続けるのかなどの問題が発生します。
それに伴い、住宅ローンの負担割合なども関係するため、折り合いが付きづらく、話し合いが長期化することが多いです。
その他にも、夫婦の一方あるいは双方が、預貯金などの財産を開示することに拒否感を強く示し、話し合いが進まないといったケースも見られます。
離婚ですので感情的な対立が出てくるのは当然ですが、財産分与は婚姻期間中に築いた財産の清算という意味がありますので、双方が財産をオープンにした上で協議を行うことが望ましいです。
弁護士への依頼について
財産分与が問題になるケースでは、弁護士に依頼をしている方の割合も多いです。
財産分与の金額が大きくなると、問題の整理にも苦労が多く、離婚調停の場合には資料を提出したりする業務も増えるので、弁護士に依頼して労力が軽減するメリットがあります。
また、財産分与に関する実務的な運用は難しいところもあり、調停で適切に意見を述べられないといったこともあります。
後々のトラブルを防ぎ、納得のいく形で離婚を成立させるためにも、財産分与に精通した専門家のサポートを受けるとよいでしょう。