面談による相談を勧める理由
当事務所は面談でのご相談のみの対応となっております。
このように面談による相談を勧めている理由を説明させていただきたいと思います。
ときおり,「電話での相談はできますか?」とお問合せをいただくことがありますが,電話では十分なアドバイスが出来ないのが実際のところです。というのも,離婚問題あるいはもっと広く法律問題に関しては,単一の事項だけが問題となっていることはまれで,その背景には様々なことがらが隠れているからです。
また,多くの事情が絡み合っていますので,その一つ一つを解きほぐしていく必要があります。そのような問題一つ一つを電話によって相談を受け、回答をしていくことは相当な困難があります。そのため、相談者の方には事務所にご来所いただき,十分な時間を取って問題点をお聞きして,それに道筋を付けることが弁護士による法律相談の目的になります。このような事情もあって,当事務所ではご来所での相談のみの対応とさせていただいております。ただ,やはりお仕事で日中事務所に来られない方や,小さなお子様を抱えていらっしゃる方がおられ,ご不便をおかけしているのが現状です。仕事終わりの時間など,できる限り対応させていただきますので,ご希望の相談時間等もご相談いただければ幸いです。
個別のケースについて説明しますと,例えば養育費の具体的な金額が知りたいという場合もあるかと思います。しかし、その金額が分かったとしても,十分な解決に至ることはそれほど多くありません。決めごとを公正証書にした方がいいのか、あるいは、具体的な金額を配偶者が納得して受け入れてくれるのか,配偶者に受け入れてもらえない場合にはどうしたらいいのか,などさまざまな点が問題になっていきます。公正証書の例で言えば,養育費を受け取る側からすれば,公正証書で養育費の支払いを定めた方が安心であることになります。公正証書で養育費について定めた場合には,相手方への強制執行が可能になるからです。
他方で,公正証書を作成するには,夫婦が揃って公証役場に行って公正証書に署名押印する必要があります。そのため,当事者双方がそこまでの協力ができるかどうかということもポイントになってきます。
また,公正証書の条項についてお互いが理解し納得した上で署名を押印することになりますから,公正証書を作成する前の段階でお互いが話し合って記載内容を詰めておくことが必要になります。このような協力ができない場合には,そもそも公正証書を作成することは出来ませんので,公正証書を作成することをあきらめるか,あるいは調停によって解決をせざるを得ないことになります。このように,養育費の問題一つをとっても色々と考えなければならないことがあり,電話での相談が難しいということがご理解いただけるかもしれません。電話により養育費の具体的な金額を知りたいというニーズがあることは理解できますが,その金額が分かったとしてもそれだけでは問題は解決できません。
あるいは,財産分与についても同じようなことが言えます。例えば,学資保険が財産分与の対象になるのかという点が問題になったとします。学資保険の掛け金を夫婦が協力して稼いだお金から支払っていた場合には,当然学資保険も財産分与の対象になります。具体的な財産分与の場面では,学資保険の解約返戻金を保険会社に問い合わせて,その金額を財産として分与の対象とすることになります。多くの場合,子どもを監護養育していく方の親が学資保険の契約を引き継ぎ保険料を支払っていくことになろうかと思います。この場合には,学資保険相当額の財産を得たことになるわけですから,別途それの対価として現金を支払う必要が生じるかもしれません。
また,住宅ローンの問題もよく出てきます。現在の持ち家を処分するのか,あるいはどちらかの当事者が住み続けるのかという点も含めて解決することが必要になります。このように,一つの問題をお聞きすると,関連する問題が出てきますので,それぞれについて整理しながら話を進める必要があります。
また,相手方の配偶者の浮気が疑われるケースもよく相談を受けます。この場合には,配偶者が浮気をしていれば基本的に慰謝料の発生原因となります。
また,浮気相手に対しても慰謝料の請求が可能です。しかし,実際に慰謝料請求するためには証拠が必要になります。相手方配偶者が浮気の事実を否定することも少なくありません。この場合には,最終的には裁判により浮気の事実を証明する必要があります。慰謝料を請求する場合,その証明の責任は請求する側にあります。そのため,仮に浮気が真実であっても,証明ができなければ請求が認められませんので,きちんと証拠を集めておく必要があります。やはり一番気になるのは慰謝料の具体的な金額ですが,このように,それに至る過程として証拠があるのかどうかという点もきちんと精査しておくことが必要になります。
これとは別に,請求するための方法についても考えることになります。たとえば,あくまで話し合いにより解決をするのか,調停をするのか,訴訟にするのか,という点もよく検討しておくことが大切です。問題を抱えている方にとっては,一番気になる点を知りたいという気持ちがあるのが通常だと思います。ただ,実際にはそれ以外の点について見過ごしているケースも多くあります。そして,そのように見過ごしている点が,実は解決のために乗り越えなければならない障害であることもよくあります。電話だけでは,質問に回答するだけになってしまい,その問題に隠された様々な点を見過ごしてしまうことがほとんどです。
また,それら様々な点が複雑に絡まりあっていて,解決のためには,それらを解きほぐしていくことが必要になりますので,面談での相談がやはり望ましいと考えられます。相談時間としては,短い方で30分,長い方でも1時間に収まることがほとんどです。ぜひ時間を作っていただき相談にお越しいただければと存じます。