熟年離婚

50代後半から60代の、長年連れ添ってこられたご夫婦が離婚することは「熟年離婚」と呼ばれます。

当事務所に寄せられる離婚相談は、入籍して間もないご夫婦からのご相談が最も多いのですが、熟年離婚に関する相談もその次に多く寄せられています。

熟年離婚を決意した方の中には、「子供が独立するまでは」と離婚を我慢してこられた方や、自分や配偶者が仕事を退職するのをきっかけに今後の人生を見つめ直した結果、離婚を選択されるといった方も多くいらっしゃいます。

このページでは、このような熟年離婚の際の大切なポイントを解説します。

熟年離婚で争いとなること

熟年離婚の場合、結婚して間もないご夫婦の離婚とは争点が異なります。

ご夫婦が熟年離婚をする時には、お子様は独立して家を出られていたり就職していたりすることが多いため、親権や養育費などが問題となることは少ないです。
お子様が大学に通われている場合は学費や生活費の問題を整理する必要もありますが、卒業などの予定も見通しが立つため、ご夫婦の間で意見が対立することはそれほど多くありません。

では、熟年離婚においてどのような問題が元となりご夫婦の意見が対立するのでしょう?
よく見られる争点としては、次の2つあります。

相手方が離婚を受け入れない場合

まず1つ目は、そもそも配偶者が離婚自体を受け入れないケースです。

ご夫婦の一方が長年の結婚生活に不満を抱きながら耐え続けていたとしても、その配偶者は夫婦関係は円満だと思って生活していることがあります。
結婚生活の満足度についてご夫婦の間で相違がある場合、離婚を切り出したとしても配偶者にとっては寝耳に水で、簡単には離婚に応じないということは想像に難くありません。

反対に、自分は円満に結婚生活を営んできたと思っていたのに、配偶者から突然離婚を切り出されて困っているという相談も多く見られます。

このように、離婚に至る経緯や妥当性についてご夫婦の意見が合わないことが、熟年離婚で問題となるポイントです。

財産分与で折り合いがつかない場合

次の問題は、ご夫婦が離婚に合意していたとしても財産分与で折り合いがつかないケースです。

熟年離婚の場合、長年の結婚生活で貯蓄などの資産が増えていることが多く、自宅についてもローンの残額が少なくなっていることや、住み慣れた家を転居しづらいといったことがあります。
また、仕事を退職する際に退職金の支払いが見込まれることも多く、これらは財産分与での解決が必要です。

双方が離婚自体に応じていても夫婦財産の分配は複雑で、意見が対立し離婚条件に折り合いがつきにくいことが、婚姻期間の短いご夫婦の離婚と熟年離婚の異なるポイントでしょう。

離婚の進め方

では、熟年離婚とされるケースの場合、離婚をスムーズに進めるにはどのように取り組むとよいのでしょうか。

可能な限りご夫婦同士で話し合いを行い、円満に離婚することが望ましいのは言うまでもありません。

しかし、前述したように離婚自体に配偶者の合意が得られない場合や、財産分与で意見の相違がある場合など、話し合いで解決できないことも多いでしょう。
ご夫婦同士で交渉がまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停で問題を一つずつ解決していく必要があります。

離婚調停については以下の記事も参考にしてください。
>>調停離婚

弁護士への相談・依頼を考える方も多いです

熟年離婚の場合、両親に離婚の仲介を依頼するのは現実的ではなく、かといって第三者にも相談しづらいものです。

また、財産分与の方法や離婚の進め方など知識がなければ難しい問題も多く含まれています。

そのため、離婚を検討し始めた時点で弁護士に相談し、離婚の話を進める方も多くいらっしゃいます。
弁護士には守秘義務がありますので、依頼者の秘密が漏洩することはありません。

万が一、離婚調停を申し立てる必要が生じた場合には代理人としてサポートしますので、時間や精神的な負担を軽減させることができます。
離婚後の新しい人生に遺恨を残さないためにも、熟年離婚の場合に弁護士に相談・依頼する方が多く見られます。

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